Sustainability

環境

気候変動

三つの柱で、グループ全社で排出する温室効果ガスを
2030年までに50%削減(2021年8月期比較)し、
2050年までにカーボンニュートラル達成※を目指します

※ GHGプロトコルのScope1およびScope2の温室効果ガス排出を対象
2050年カーボンニュートラルロードマップ

ガバナンス

2017年に「リスクマネジメント基本規程」を定め、当社取締役会の下、代表取締役社長および執行役員からなるガバナンス・リスク管理体制を整備してきました。
2022年5月に設置したリスク管理委員会では、執行役員が委員長や委員を務め、リスクの未然防止、早期発見、適切な対応の実践などを目的とし、リスク管理の計画や方針の策定、重要リスクの検討、対応策の進捗フォローアップ、規定類の改廃審議を実施しています。リスク管理委員会での議論は、代表取締役社長を通じて取締役会に報告され、取締役会の指示は代表取締役社長とリスク管理委員会を通じて事業会社にて実践されます。
当社では、リスク管理委員会が四半期ごとに実施状況をモニタリングし、必要に応じて対応策の見直しを行うことにより、気候変動によるリスクと機会を管理しています。

リスク管理体制

シナリオ分析に基づく気候関連リスクおよび機会

シナリオ分析にあたっては、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC: IntergovernmentalPanel on Climate Change)の各報告書、国際エネルギー機関(IEA: InternationalEnergy Agency)の世界エネルギー展望(World Energy Outlook)、その他関連情報を参照し、気候変動のリスクおよび機会がもたらす組織のビジネス・戦略・財務計画への影響を1.5℃以下シナリオ(IEA の NZE2050)および 4℃シナリオ(IPCC の RCP8.5)の下で識別しています。
今般のシナリオ分析からは、1.5℃以下シナリオにおいて、燃料や電力を大量消費する産業やそうした産業と関連の深い業界における長期的なリスクに加え、中期的なリスクも増大したと認識しています。また、製造業や個人サービス業などでは、引き続き、流通や生産の効率性向上による長期的機会が存在すると認識しています。これを踏まえ、よりリスクの低い産業との取引や販売の比重を上げ、リスクの分散化を図るための検討を加速します。また、 全体としては4℃シナリオにおけるリスクは大きくないものの、洪水などの一部の物理的リスクはあることから、リスクの分散を図ります。このように、当社グループでは、リスク管理を通じて、気候変動に伴う様々なリスクの最小化と機会の最大化を図り、組織の強靭性を確保しています。

リスク・機会 指標 サプライ
チェーン
影響度
(短期)
影響度
(中期)
影響度
(長期)
移行リスク 現行の規制

・カーボンプライシングの仕組み
・排出量報告義務の強化
・既存製品・サービスの義務付けと規制

調達
売上
新たな規制

・カーボンプライシングの仕組み
・排出量報告義務の強化
・既存製品・サービスの義務付けと規制

調達
売上
法規制

・訴訟へのエクスポージャー

調達
売上
技術リスク

・既存製品・サービスを低排出オプションに置換
・新技術への投資失敗
・低排出技術への移行

調達
売上
市場リスク

・顧客行動の変化
・市場シグナルの不確実性

調達
売上
評判リスク

・消費者の嗜好の変化
・セクターの汚名
・利害関係者の懸念の高まりまたは否定的な利害関係者のフィードバック

調達
売上
物理的リスク 急性リスク

・台風、豪雨
・洪水
・熱波
・山火事

調達
売上
慢性リスク

・温度変化(空気・淡水・海水)
・降水パターンと降水の種類の変化(雨、雹、雪/氷)
・海岸浸食

調達
売上
機会 市場

・新市場への参入
・インセンティブ導入
・保険適用が必要な新たな資産および所在地への利用

調達
売上
レジリエンス

・再エネプログラムへの参加および省エネ対策実施
・リソースの代替・多様化

調達
売上
資源の効率性

・効率的な輸送手段の利用
・生産・流通プロセスの効率化
・リサイクルの利用
・効率的な建物への移転
・水の使用量・消費量の削減

調達
売上
エネルギー源

・低排出エネルギー源の利用
・支援的な政策インセンティブの利用
・新技術の活用
・炭素市場への参画

調達
売上
製品・サービス

・低排出製品・サービスの開発および拡大
・気候適応・レジリエンス・保険リスクへのソリューション開発
・R&D・技術革新を通じた新製品やサービスの開発
・事業活動の多様化
・消費者の嗜好の変化

調達
売上

指標と目標

Scope別の温室効果ガス排出量について、当社グループでは、GHG プロトコルに基づき、外部専門家の監修により算定を行っています。2024年8月期の算定結果は下記のとおりです。
Scope3は当社グループの排出量の大部分を占めており、その中でも販売目的の電力調達による排出量が分類されるカテゴリ3が76.7%と、主な排出源となっています。
しかしながら、カテゴリ3の排出量の大部分を占める㈱U-POWERは、実質再エネ由来電力の販売を中心に一般家庭/法人向けの脱炭素提案を事業内容としており、実際にお客様への再エネ電力販売によって削減できたCO2量の定量化等も行っているため、世の中の再エネの普及促進に貢献しているといえます。

GHG総排出量

Scope1・2のGHG排出量は、2024年8月期は微増となりましたが、売上当たりの GHG 排出量(炭素強度)は年々改善しています。

scope1・2排出量の推移、炭素強度の推移

以上を踏まえ、2030年までにScope1・2を50%削減、2050年までにカーボンニュートラル達成に向けて、各Scope1〜3において3つの施策に取り組んでいます。

車両のEV化・HV化によるCO2の削減

全国で約1500台保有している営業車両をEV車(電気自動車)とHV車(ハイブリット車)に切り替える取り組みを実施しています。 2024年8月期のEV・HV車両導入率は、36.6%となり順調に推移しています。また、環境負荷軽減のために、車両自体の削減や最適な移動手段への切り替えなどの検討も行っています。

迷惑メール訓練の実施
事業所の電力の実質再生可能エネルギー由来電力への切り替え

全国にある約150拠点の事業所で使用している電力を、㈱U-POWERの実質再生可能エネルギー電力への切り替えと「トラッキング付FIT非化石証書」の購入により、再エネ化しています。2024年8月期は、約75%の再エネ化を達成しました。今後も、2030年までにScope2カーボンオフセットに向けて、取り組みを継続していきます。

未来の世界を守ろう U-POWER
サプライヤーとのコミュニケーション

グループの主要サプライヤーに対して、「USEN&U-NEXT GROUP サプライヤーに関する基本方針」に基づくサプライヤーガイドラインの遵守状況の把握を目的としたサプライヤーアンケートを定期的に実施しています。2024年12月に実施したアンケートでは81.1%の回答率を得ることができました。
今後も継続して取り組みを実施し、サプライヤーとのコミュニケーションを図るとともに各社でのGHG排出量削減を推進していきます。

2024年12月に実施したアンケートの回答率

その他気候関連リスクに対する取り組み実績

お店のSDGs プロジェクト

㈱U-POWERは、実質再生可能エネルギー由来電力を法人・個人向けに販売しています。
2027年には実質再生可能エネルギー由来電力サービス契約数を20万契約とする目標達成に向けて、事業の拡大を計画しています。また、実際に電力プランをご契約いただいたお客様がどのようにSDGsの取り組みを実践しているのかを紹介するオウンドメディア「お店のSDGsプロジェクト」や、環境に関する様々なトピックスをコラム形式で発信する「未来を考えるコラム」を通じて、社会全体へのグリーンエネルギーの普及を推進しています。

お店のSDGs プロジェクト
太陽光設備工事やEV充電インフラ整備におけるグリーン成長戦略を促進

㈱USENテクノサービスは、施工会社として、あらゆる施設の電気・通信/弱電・設備工事へのサービス提供を実施しています。
その中で、脱炭素社会構築に寄与すべく、大小様々な太陽光発電の導入を支援するエコ・省電力化工事やEV充電インフラ整備工事などにも対応しています。特に、2030年までに急速充電器3万基を含む充電インフラを30万基設置する国の目標に向けて、EV充電器設置拡大に取り組んでいます。

再生エネルギーの太陽光設備工事やEV充電インフラ整備におけるグリーン成長戦略を促進
カーボンオフセット回線の販売

㈱USEN ICT Solutionsは、2023年より法人向けICTソリューションサービス「USEN GATE 02」の20周年を記念し、J-クレジットを活用したカーボンオフセット回線を提供しています。自社の炭素排出量の実質削減に寄与するとともに、カーボンオフセット回線を利用いただいているお客様も脱炭素に貢献することを可能にしています。
また、J-クレジットの調達において、グループ会社である㈱U-POWERも共同申請者としてプロジェクトに参画しています。